サーチプロジェクトとは...

テーマに基づいた子どもから大人までを対象としたアートや知の可能性を探求(=search)する企画として、2011年より毎年開催している展覧会です。ここでは、アーティストとの共同企画や、アートプロジェクトとの連携事業等、様々な表現の試行と実践の場として当館を活用します。 2011年のvol.1では、アーティスト加藤翼による初個展。2012年は、vol.1.5と題して、vol.2へと繋がるリサーチと試行を実施。続くvol.2では、美術家の山本高之、コンテンポラリーダンスカンパニーの珍しいキノコ舞踊団、ファッションブランドのシアタープロダクツによる「山本キノコシアター」。vol.3では、クリエイティブユニットのgrafと編集プロダクションのIN/SECTSとの協同企画による「アパートメント・ワンワンワン」を開催。そして、2015年のvol.4では、「ニュー"コロニー/アイランド"~"島"のアート&サイエンスとその気配~」と題して、アートエリアB1が立地する"中之島"と"菌類の知性"に着目し、研究者、建築家チーム、メディア・アーティストをプロジェクトメンバーに迎え、生物模倣工学、都市・情報工学、メディアアート、建築などの要素を融合させ、会場に新たな中之島の街を生成しました。


「ニュー “コロニー/アイランド” 2」惑星・地球・日本列島

「ニュー"コロニー/アイランド"2」では、惑星・地球に位置する日本列島そのものに着目し、"災害にまつわる所作と対話"をテーマに展覧会を開催します。サーチプロジェクトが始動した 2011年、展覧会の開催を目前にして、東日本大震災が発生しました。初のサーチプロジェクトでは、巨大な木製の構造物を作り、それを大勢の人とともにロープで引っ張り興すという作品を制作しているアーティスト・加藤翼による初個展を予定していましたが、未曾有の事態を受けて、開催を延期し、加藤とともに今何が可能なのかを考え、展示を再考して約3ヶ月後に開催しました。それから5年目を迎える今年、改めて地球の営みとも言える地震による地殻変動などの「災害」について考え、様々な視点から「対話」を試みる展覧会を開催します。

日本列島と災害文化

日本列島は、言わずと知れた自然災害の多発地帯です。地球を覆うプレートの衝突部上にあるため地震や火山活動が多発し、さらにマリアナ諸島近海で発生した台風の多くが日本列島を通るため"台風銀座"と呼ばれています。地震や台風、津波、火山噴火など、自然の猛威に晒されながらも、一方でその恩恵に感謝して生きてきた先人たちの災害に関する知恵や記憶は、街の石碑や資料館そして伝承などで残っています。例えば、三陸地方に伝わる津波の際の逃げ方を示した「津波てんでんこ」や、江戸時代以前からの伝統的治水技術の一つとして淀川沿いの地域に残る「段蔵」という 建築様式などがあります。このように、日本には災害の脅威を後世に伝え、土地の歴史を知り、知恵を伝承する「災害文化」というものがあります。

災害にまつわる所作と対話

被災地の復興や人々のエンパワーメントにつながる活動として、アーティストたちは様々なプロジェクトや創作を行っています。それらは、被災者や地域の傷を癒やすだけでなく、当事者・ 非当事者という心理的・物理的な距離感を超えて、様々な人々が出来事を語る場を生み出したり、一定の価値をもった作品として国内外に広がり、報道とは異なる回路で人々が出来事に向き合うことを可能にします。わたしたちは、そうしたプロジェクトや作品に触れ、知恵を知り、過去の災害と向き合ったとき、何を見て、何を考え、いかなる感情を抱き、どのような対話を繰り広げることができるのでしょうか。本展では、アーティストや公共施設のほか、地質学、行動学、食品安全、メディアなどの研究者、そして"わたしたち"がともに災害にまつわる所作について考え、様々な視点から対話を繰り広げることで、改めて、この日本列島という"島"に生きることについて、向き合う機会をつくりたいと考えます。


アドバイザー

日本列島そのものや地球の営みから起こる「災害」について着目する「ニュー"コロニー/アイランド"2」。本展では、アドバイザーに、国内外の火山調査を通して地球の営みを見続けてきた、惑星地質学・鉱物学研究者の佐伯和人さん、全国の漁撈伝承やカツオ漁の調査を通して人の営みを見続けてきた、民俗学者の川島秀一さんをお迎えしています。

佐伯和人(惑星地質学・鉱物学研究者、大阪大学大学院理学研究科 准教授)
川島秀一(民俗学者、東北大学災害科学国際研究所 教授)

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